思い起こせばあれは小学五年の夏。その後の私に大きな影響を与える出来事は起こった。 事実、私がもう十年以上もの間したためて続けているこの秘密日記はその日が起源となっており、 そしてそこには、その名の通り決して人には云えない数々の禁断の事実が記されている。 現在、二十代も半ばを過ぎ、周りには既に家庭を築いた者も少なくはない。 それでも私は、この日記帳から自分自身を卒業させる事が出来ないでいる。 即ちそれは、依然、私が偏向的性感覚の持ち主であり、歪んだ性的欲望の虜のままであるという証である。 あの頃から随分と成長してしまった身体とは裏腹に、 私の心は未だ、「しんいち」のままである。